セネカの「怒りについて」を読む5

「怒りについて」

Cētera licet abscondere et in abditō alere:

cētera adv. : その他については

licet, -ēre impers. : (~することが)自由である、許されている <+inf.>

abscondō, -ere : 隠す、見えなくする、(場所を)あとにする、秘密にする

abditum, -ī, n. : 秘密 in abditō : こっそりと

alō, -ere : 養育する、飼育する、支える、強める

<和訳>
その他(の悪徳)は、隠されて秘密裏に増大させられることもある。

前文の内容を受けて、副詞 cētera はその他の悪徳(vitium)について言及することを示しています。
licet は非人称的に使われます。文脈から、「~することが許されている」という表現はやや大げさに感じるため、「~こともある」と意味を弱めて訳しました。

īra sē prōfert et in faciem exit, quantōque mājor, hōc effervescit manifestius.

prōferō, -ferre : 前へ運ぶ、差し出す、公表する、発言する、前進させる、長くする、生み出す

exeō, -īre : 出る、出て行く <in alqd>

quantō : interrog. (疑問)どの程度、(感嘆)どんなに relat. ~だけ、~ほど

mājor, -or, -us adj. comp. : (magnusの比較級)より大きな、より多数の、より激しい

hōc = hūc adv. : ここへ、これに、この点まで、この程度まで

effervescō, -ere : 沸き立つ、沸騰する、激怒する

manifestō adv. (comp. manifestius) : 現行犯で、明白に、明らかに

<和訳>
怒りは自身を前面に出し、顔面に表出する。(怒りが)大きいほど、より明らかに沸き立つ。

Nōn vidēs ut omnium animālium, simul ad nocendum insurrexērunt,

animal, -ālis, n. : 生き物、動物

simul adv. : いっしょに、同時に

noceō, -ēre : 傷つける、害する、堕落させる

insurgō, -ere, -surrexī, -surrectum : 起き上がる、伸びる、増す、反乱を起こす、向上する

<和訳>
全ての動物は、(他者を)傷つけるために立ち上がるのと同時に、

omnium animālium の前には ea などが省略されていると考え、部分の属格として捉えました。
そのため正確なニュアンスとしては、「全ての動物のうちの多く」あるいは「全ての動物のうちの一部」という表現が近いかもしれません。

praecurrant notae ac tōta corpora solitum quiētumque ēgrediantur habitum et feritātem suam exasperent?

praecurrō, -ere : 前を走る、先駆する、先行する、しのぐ

nota, -ae, f. : 目印、符号、烙印、しるし

corpus, -poris, n. : 身体、肉体

solitus, -a, -um : いつもの、通常の

quiētus, -a, -um : 休息している、落ち着いた、平穏な

ēgredior, -dī : 出て行く、出てくる、去る、越える

habitus, -ūs, m. : 状態、態度、特徴、性質

feritās, -ātis, f. : 野蛮、狂暴、獰猛

exasperō, -āre : でこぼこにする、鋭くする、悪化させる、いらいらさせる

<和訳>
その徴候が先行し、全身がいつもの落ち着いた状態を越え、自身の野蛮さを先鋭化させることを、あなたもご存じだろう。

前項の ut が導く名詞節の中にあるため、3つの動詞は接続法になります。
Nōn vidēs ut ~? という疑問形をとっているため、直訳すれば「~であることをあなたは見ませんか?」となります。

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