セネカの「怒りについて」を読む7

「怒りについて」

Nec ignōrō cēterōs quoque adfectūs vix occultārī, libīdinem metumque et audāciam dare suī signa et posse praenoscī;

ignōrō, -āre : 知らない、無知である<+acc c. inf>、無視する

cēterus, -a, -um : その他の、それ以外の、残りの

quoque adv. : 同じく、また、~でさえ

vix adv. : 辛うじて、いやいや、ほとんど~ない

occultō, -āre : 見えなくする、隠す (pass.) 身を隠す、隠れる

libīdō, -dinis, f. : 欲望、情欲、わがまま

metus, -ūs, m. : 恐怖、恐ろしいもの、脅威、畏敬

audācia, -ae, f. : 大胆、勇気、無謀、むこうみずな行為

praenoscō, -ere : 前もって知る

<和訳>
そして、私もその他の情念でさえほとんど隠されないことや、欲望や恐怖、大胆さはその徴を与え、予知されうることを知らないわけではない。

adfectūs は複数・対格で、ignōrō 以下の2つの対格不定法の意味上の主語うちの1つで、動詞(不定法)は occultārī。

もう1つの対格不定法の意味上の主語は libīdinem metumque et audāciam で、動詞は dare と praenoscī。

neque enim ulla vehementior intrat agitātiō quae nihil moveat in vultū.

neque enim : というのも~でないから

ullus, -a, -um : ある、ある人、ある物

vehementior (comp.)<vehemens, -entis : 激しい、厳しい、精力的な

intrō, -āre : 入る<in alqd>、出廷する、染み込む、入り込む

agitātiō, -ōnis, f. : 激しく動かすこと、振動、実行、活動

nihil indecl. n. : 無、無意味 adv. : 全く~ない

moveō, -ēre : 動かす、乱す、駆りたてる、ひき起こす

vultus, -ūs, m. : 顔つき、表情、まなざし、顔、外観

<和訳>
というのも、何も動かさないようなある激しい動きが、表情に入り込むことはないからである。

quae nihil moveat は結果「~ような」を表す関係文(接続法、quī = ut is)で、先行詞は agitātiō。

意訳すると、「激しい動揺は、少なからず表情を動かす」。

Quid ergō interest?

ergō : 従って、(疑問文で)それでは

intersum, -esse : 間にある、異なっている (impers.) 重要である

<和訳>
それでは、何が異なるのか?

Quod aliī adfectūs appārent, hic ēminet.

appāreō, -ēre : 見える、現れる、仕える、役に立つ、明白である

ēmineō, -ēre : 突出する、目立つ、卓越している、明らかである

<和訳>
他の情念はただ現れるが、これ(怒り)は突出する(という点が異なる)。

quod が関係文(名詞節)を作り、その動詞 interest が省略されていると考えます。

動詞 appāreō と ēmineō の対比により怒りとその他の情念の現れ方の激しさの違いを表現しています。

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